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NHKスペシャル
地球市場 富の攻防
第5回 大競争 自動車ヨーロッパ戦線 50分
<内容紹介>
ドイツ北部にあるウォルフスブルク市の中心に、自動車メーカー、フォルクスワーゲンの本社工場がある。ドイツ語で「国民車」という意味を持つフォルクスワーゲンは、1938年創業、世界全体で32万人の従業員を抱える。ウォルフスブルク工場だけで5万人が働く。現在、世界での生産台数は年間で500万台。ヨーロッパでのシェアはトップを誇る。
これまで、シェアを拡大するため、企業の買収を積極的に進め、ブランドの数を増やしてきた(マルチブランド戦略)。現在フォルクスワーゲン以外に、アウディ、ベントレー、シュコダ、ブガッティ、ランボルギーニ、セアトの6種類のブランドを持つ。生産拠点も増やし、ヨーロッパではこれまで11ヶ国に工場を置いている。
その中で、スペインのセアト社の車をスロバキアでも生産すると発表。スペインでは労働条件等で生産に限界がある一方、スロバキアには市場としての将来性があるというのだ。この発表は、スペインを大きく揺らがした。スペインは、ドイツやフランスの半分という安い賃金を売りに、次々と自動車メーカーを誘致してきた。多くの部品工場も立地した。国を挙げて自動車立国を目指したのだ。1980年代後半から高度経済成長を遂げ、20パーセントを越える失業率は半分にまで減少した。今ではヨーロッパ第三位の生産台数を誇る自動車大国に成長。そこにイビサの移転問題が持ち上がったのだった。国民は、大きな不安に襲われた。
一方、ドイツでは国外への生産拠点移転を防ぎ、失業者を減らすために、労働側はこれまで受けてきた権利の一部を手放さなければならなくなった。これまでドイツで守られてきた労働者の権利、そして労資の関係が変化をみせていく。
世界最強の労働組合といわれるドイツのIGメタルは、労働者の権利を一部の大企業だけではなくドイツ全体の中小企業にまで広げ、守ってきた。IGメタルの幹部で地区代表商談役、リヒャルト・ポルツマッハ氏は、バイエルン州の700を越える企業の50万人の労働者の権利を守ってきた。このIGメタルに対抗し、経営者を支援する団体ができた。経営者連盟の中につくられたバイミーである。中心人物である弁護士のロバート・ファウサー氏の元には、50以上の企業から相談が寄せられている。IGメタルとどのように交渉し、各企業に見合う労働条件を引き出していくのかをアドバイスしている。
<一口感想>
ポーランドのマドムスコ市は、200ヘクタール以上の土地を1ユーロ(約130円)で外国企業に売り出している、ということを知って驚いた。さらに、電気、水道、ガスは完備され、製品の輸送のために鉄道の引込み線まで敷設するという。2,000人以上を雇用するという条件ではあるが、これだけの設備を整えるためにポーランドは1千500万ユーロ(約20億円)をかけているというからさらに驚きである。そこまでしてでも職場が必要なのであろう。しかし、ここに工場が建てられてたくさんの人が雇用されても、何年かすると企業はもっと安いコストに目をつけ、簡単に生産拠点を移転させてしまうのではないかと不安になった。(玉野)
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