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NHK BS1 ウィークエンドスペシャル 2003年1月19日放送
激動巨大都市 “国家破産”の街 ブエノスアイレス
50分
<内容紹介>
ブエノスアイレスは、南米の経済大国アルゼンチンの首都である。16兆円の公的債務を抱えるアルゼンチンは、去年11月、世界銀行から融資を受けた8億円を返済できず、事実上の債務不履行に陥った。
1989年、当時の大統領カルロス・メネムは、急激なインフレに悩む経済を立て直そうと大胆な自由化政策を打ち出した。最大の柱が自国通貨ペソとドルの交換レートを1:1で固定する制度だった。ドルの信用でインフレは終息し、さらに次々と国営企業を海外に売却、1:1の固定相場制で為替のリスクがないことを売り物に、公共事業へ欧米の資本を呼び込んだ。90年度始め、アルゼンチンは10パーセント近い経済成長を遂げ、アメリカではグローバリゼーションの優等生と言われるようになった。
1997年、グローバリゼーションの激震がアジアから起きた。タイを激震地として広がった通貨危機である。混乱はロシアへ飛び火し、さらに99年には南米のブラジルにまで及ぶ。ブラジルは通貨レアルを半分に切り下げて対応した。しかし、1ドル=1ペソの体制で参入してきた外国資本を逃したくないアルゼンチンは、固定相場制を維持しようとした。通貨の切り下げで割安になったブラジル製品がアルゼンチン国内に流入し、国内企業の9割を占める中小の製造業は輸出が激減したことから倒産が相次いだ。一年に50万人が職を失い、失業率は25パーセント近くに及んだ。株価も大きく下落した。
2001年には政府が突如、銀行の預金を封鎖すると発表。自分の口座からお金を引き出せなくなった。この預金封鎖と失業のせいで、ブエノスアイレスの人々の暮らしは追い込まれていく。電気料金を滞納している家庭は、市内の2割以上になっている。電気会社は、電気料金を滞納している家庭の電線を切断するという強硬手段にでた。さらに、督促を繰り返しても支払わない場合には電気メーターまで取り外している。街全体では、一日に3,000件ほどの家庭からメーターが取り外されるという。
そんな街に、「交換クラブ」と呼ばれる場所がある。自分たちで作った品物や自宅にある衣服をもちより、自分の必要なものと交換するのだ。クレジットという地域通貨を用いて交換を行う。普段の生活に必要なものの8割はここでまかなうことができる。「人々は社会に不信感を抱き、未来にも絶望している。その中で交換クラブは人々に希望と尊厳を与えたい。」と、交換クラブ代表のカルロス・デサンソさんは話す。
都心では、「カルトネーロス」(スペイン語で「ダンボール集めをする人」という意味)がダンボールを集めている。その数は10万人にのぼるというが、街角ではカルトネーロスが争うようにして会社からでる紙くずを集めている。住民の3分の1がカルトネーロスで生計を立てている。
<一口感想>
ブエノスアイレスは、日本でいうと東京にあたる。東京でこれほど深刻な状況になるなんて考えられないが、それがアルゼンチンの現状なのだ。日本がアルゼンチンと同じように破綻の道をたどるとは限らないが、アルゼンチンの状況から学ぶことはたくさんあるはずだ。世界で起きている各国の状況をもっと国民が知ることで、今の日本、これからの日本が本当にこれでいいのか疑問を投げかけることができるのではないだろうか。(玉野)
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