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NHK日曜スペシャル 1998年放送
GULFWAR
BABY 〜湾岸戦争の後遺症に悩むアメリカ〜
60分
<内容紹介>
湾岸戦争帰還兵70万人のうち、およそ10万人もの兵士が深刻な病気におそわれ、さらに彼らの子どもたちが障害を持って生まれるケースが多く見受けられるようになった。そうした子どもたちは「GULFWAR BABY(湾岸戦争の子どもたち)」と呼ばれている。
テキサス州サンアントニオに住むセドリック君(5歳)は、父親のスティーブさんが帰国して一年後の1992年3月21日に生まれた。セドリック君には左の耳がなく、左眼は義眼である。生まれたときから顔の左半分の機能が欠落していた。
看護兵だったスティーブさんは、湾岸戦争が始まったとき、サウジアラビアにいたが、イラクにも行っている。湾岸戦争前に生まれた姉のラリッサちゃん(7歳)には障害がない。
セドリック君は生まれてすぐに集中治療室に連れて行かれたが、そこには他にもたくさんの障害児がいた。その父親はみな湾岸戦争の帰還兵であった。スティーブさんはセドリック君の障害と湾岸戦争との関連を疑い、原因についていろいろ調べた。その結果、セドリック君のように全く眼が失われた状態で生まれてくるのは、化学物質か放射能による汚染、あるいは遺伝が原因でしかない、ということがわかった。検査の結果、遺伝子には異常が見られなかったため、セドリック君の障害の原因は遺伝によるものではないことが判明した。
テキサス州テンプルには、下半身が一生動く可能性のないレアちゃん(5歳)がいる。父親のリチャードさんが帰還して一年半後の1992年11月27日に生まれた。
リチャードさんは、元々海兵隊員であったが、軍を辞めた後、民間の航空会社で整備の仕事をしていた。湾岸戦争が始まるとき、会社でボランティアの募集があり、率先して志願し、ヘリコプターの整備士として戦争に参加したのだった。戦争から戻ったリチャードさんは、会社の大幅な人員整理の煽りを受けて解雇され、それ以来無職のままである。
レアちゃん誕生から5年後、ギャレット君が誕生し、幸い障害が見られなかった。しかし、後になってギャレット君の聴力に不安を感じた両親が病院に連れて行き検査を受けると、ギャレット君は全く耳が聞こえない可能性があることがわかった。
1994年になってようやくGULFWAR BABYや湾岸戦争症候群について、本格的に医学的な原因の究明が始められた。テキサス大学では、症状を訴える帰還兵が戦場で一つの共通した体験をしていたことを突き止めた。症状を訴える帰還兵は、健康な帰還兵に比べて戦場にあった化学物質の影響を4〜8倍近くも受けていたのだ。
戦場にあった化学物質は、サリンなどの毒ガス、その毒ガスの対抗薬として兵士たちが強制的に飲まされていたPB、砂漠の害虫から身を守るために使用していたディートという成分が含まれた防虫剤、犬や猫にも使用される虫除けの首輪の4つである。4つの化学物質のうち2つ以上を同時に使用した時、物質が複合されることによって人体に大きなダメージを与えたのではないかと考えられている。
この4つの原因説の他に現在注目を集めているのが「劣化ウラン弾」である。これは多国籍軍が使用していたものである。体内に入った劣化ウランは、休むことなく長期にわたって放射線を放ち続ける。放射性物質がリンパ球に入り込み、体内を循環して精子にも影響を及ぼす可能性があるのだ。
<一口感想>
セドリック君の両親は合わせて350万円の年収であるが、月に10万円が治療費として必要であり、成長に合わせてこの先20回以上の手術が必要だ。レアちゃんには月に15万円を越える治療費がかかる。
湾岸戦争のときに決められた期間だけ戦場にいた兵士でさえ、これ程の被害が現れた。では、ずっとそこで生活する人々の体はどれだけ汚染されているのであろうか。(玉野)
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