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NHKスペシャル 2003年5月13日放送
地球市場 富の攻防
第4回 巨大企業 対 NGO
50分
<内容紹介>
世界最大のスポーツ会社“ナイキ”は、55ヶ国で生産、140ヶ国で販売をするという多国籍企業だ。世界に2万2千人の社員を抱え、途上国を中心に生産を行っている。その工場はナイキ自身が所有しているのではなく、契約をして生産を委託しており、各工場には経営者がそれぞれいて独立採算で運営している(多くの企業がこの方式をとっている)。
ナイキの企業責任担当、マリア・アイテル副社長は、人権や環境問題に取り組む担当者として世界各地から寄せられる消費者やNGOの批判に対応している。1990年代、ナイキは途上国にある工場の労働問題で激しい非難を浴びた(反搾取工場運動)。インドネシアの工場では、労働者が法律で決められた額よりも低い一日150円余りの賃金で働き、さらに長時間の残業を強いられ、工場の中では暴力がふるわれていた。アイテル副社長は改革のため、ナイキ自らがNGOを設立するという戦略を打ち出す。GAPと共同で、NGOグローバルアライアンスを設立し、アイテル副社長もその理事に就任した。工場の実態調査では、上にあげたインドネシアでの労働実態のほか、タイでは筋肉痛や頭痛などが大きな悩みであること、ベトナムでは工場内の空気汚染に不安を抱いている人が4割に達することが明らかになった。
インドネシアには、ナイキ契約会社であるドソンがあった。13年前からナイキと契約し、靴を生産してきた。そのドソン社に対し、ナイキは生産の発注停止を言い渡した。これにより、6,800人が職を失うことになった。ナイキに限らず同じ生産方式をとっているスポーツ製品会社の工場も次々と海外に移転し、これにより失業者は昨年一年間で17万人に達した。
ドミニ・ソーシャル・エクイティ・ファウンドは社会的な責任を果たしていると判断した企業だけに投資している。このファウンドが企業を選ぶ基準は、1.環境、2.労働者の人権、3.女性やマイノリティの役員に占める割合、4.社会的なチャリティ活動、5.製品の品質、の5つである。この基準を基に400社を選び、投資信託の商品として販売している。ナイキはもともとこの400社に入っていたが、1997年、途上国の労働者の人権を侵害しているとしてリストからはずされた。人権侵害でリストからはずされたのはナイキが初めてであった。それから5年余り、ナイキが環境や社会的なチャリティ活動で新しい試みを始めていることは評価されたが、リストに戻すまでには至らなかった。
<一口感想>
「奴隷のような労働でナイキの靴はつくられている」というデモの一場面をみて、胸が苦しくなった。中学生の頃にナイキの靴が流行っていたことを思い出すが、企業の成功の裏にはこうした労働者の悲惨な現実があったことを知り、何ともいえない気持ちになった。ナイキのアイテル副社長は同時にグローバルアライアンスの理事も務めているが、結局はナイキの利益追及が第一である気がしてならない。社会的責任という課題についてもっと真正面から取り組んでほしい。私たち消費者もただ安い商品を求めるだけでなく、どうやってモノがつくられているのかを、知ることが大切であるような気がする。(玉野)
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