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NHK BS1 ハイビジョンスペシャル
2002年12月22日放送
ピースフル・トゥモローズ
9・11テロ 戦争反対を訴えた遺族たち
90分
☆第29回 放送文化基金 テレビドキュメンタリー番組部門 本賞受賞
<ピースフル・トゥモローズとは?>
9.11の遺族のなかに「報復攻撃をしないで」と全米各地で戦争反対を訴える人々がいる。ピースフル・トゥモローズは、「NO MORE VICTIMS ANYWHERE(もうどこにも犠牲者を出さないで)」という強い願いを持つ遺族がつくった小さなグループである。この番組では、大多数が報復攻撃を支持するなかで勇気を持って反対し、自由とは何か、国を愛するのは何かを問いかけ、アメリカ社会と格闘したピースフル・トゥモローズ、一年の軌跡を伝える。
<内容紹介>
9・11後、アメリカ世論は「犠牲者の死を無駄にするな」と、報復攻撃を支持する動き一色になりつつあった。遺族の多くも報復攻撃に賛成であった。戦争反対を訴えるのは少数派であったのだ。アフガニスタン空爆によって民間人に犠牲者が出ていることを報道した新聞社に抗議が殺到し、ブッシュを批判した記者が解雇されるなどの事態も発生した。言論の自由を誇りとしてきたアメリカでは自由に物が言えない空気が広がった。
ピースフル・トゥモローズの一員であったアンバーは、陸軍の軍人だった夫をペンタゴンで亡くした。二人の子どもを抱える身でありながら、積極的にピースフル・トゥモローズの活動に参加していた。「アフガニスタンでもアメリカの爆撃によって家族が奪われている。夫の名において報復攻撃をしないで」と全米で戦争反対を訴えてきた。しかし、新聞で「戦争を支持しない?それならこの国から出て行け」と、名指しで批判され、反愛国者というレッテルを貼られてしまう。放火、侵入、いたずら電話・・・さまざまな嫌がらせに遭い、その被害は子どもたちにまで及ぶ。そのため、防犯カメラを設置したり、発言を控えるようにするが、ついに活動休止を決意した。グループの一員として世の中に訴えていくより、子どもたちとの時間を大切にしたいと考えたのだ。その一方で、アンバーの義理の弟、ライアンはピースフル・トゥモローズを批判するメールに反論を書くようにしていた。その中で、スティーブという同世代の学生と長い議論が始まる。この議論は感情的に始まった。しかし、回を重ねるにつれ、次第に冷静なものになってゆく。始め、スティーブは「平和主義はテロの犠牲者への侮辱だ。君は偽善者だ。」と非難していたが、「アフガニスタンを援助してもいい。僕だって平和を望んでいるんだ。」と気持ちを整理し、考えを変えていく。テロから一年が経ち、意見の違う二者の対話が成り立つようになった。怒りが過ぎ去って、ようやく人々が他の角度から物事をみられるようになったのだ。
<一口感想>
テレビや新聞ではなかなか放送されることのない戦争反対を訴える人々の、アメリカ社会との戦いの様子がよく伝わってきた。また、時間の経過とともに9・11や平和に対するアメリカ国民の考えが変わっていくことも感じることができた。(玉野)
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