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米国の労働状況・賃金状況について調べる
坪井香央梨(英語教育講座、3年生)
アメリカ合衆国の労働状況
ワシントンのシンクタンク「経済政策研究所」(EPI)は、米国では時給7ドル以下の労働者が1,400 万人いると推定している。このなかには在宅介護労働者が含まれており、その人たちは健康保険も有給休暇も病休、年金受給資格もない。
失業は、2000年をつうじて4.1 %だったのが、2002年には6%と1994年以来の高い失業率となった。2002年12月だけで、アメリカの企業が解雇した労働者の数は10.1万人にのぼる。800
万人以上の米国人の仕事がないということだが、同時多発テロ事件いらい、雇用がほとんど増大していないという深刻な問題が生まれている。製造業だけでなく小売り、サービス部門でも雇用がのびなかったのは深刻にうけとめられている。
失業期間が長期化していることが深刻な問題になっている。米労働省の統計によれば、米国における平均失業日数は8月現在で16.2週。これは70年代に失業率やいまと同じ6%だったころの10-12
週とくらべても長い。27週間以上連続して失業状態にある人びとは同時多発テロ事件いらい1年余りで倍増した。これ以外に、失業した人のうち就職活動をあきらめた人が100
万人いると推定される。
また、都市部を中心とした青年層に仕事がないことも大きな特徴となっている。16歳から24歳の青年の失業はニューヨークの20万人、シカゴの10万人をはじめとして全米で550
万人にのぼっており、2000年に12%増大しているという(ニューヨークタイムズ 2003年2月6日)。
貧困は、25年ぶり最低に改善されたというものの、その人口の割合は2000年の11.3%から2001年の11.7%にふえており、ブッシュ政権になってからは少なくとも130
万人が貧困に陥り、2001人には3,290 万人を数える。
雇用は、この20年で最悪の状態にあるといわれる。以前は、「ミドルクラス」をささえていた仕事が高卒者にまわってくるのがふつうだったのが、そうした雇用口は低賃金の国にでていってしまっている。そのうえ、国内の雇用の比重は製造業からサービス部門に移ってきた。かつて、セブン・イレブンのようなコンビニエンスストアでは賃金が低いから人員確保が難しいといわれた時期があったが、いまは逆で、ほかに就職口がないからだれもが履歴書を持参してくるという。とくに中途退職者も最低賃金以外の職を見つけるのは至難のわざだという。
リビング・ウエイジ(生活できる賃金)運動
約86年前からはじまった「生活できる賃金運動」(リビング・ウエイジ・キャンペーン)が着実に進んでいる。
市の契約企業で年8,500 ドルで働いていた人の給料が、リビング・ウエイジが条例化されて24,000ドルになったという、うそのような話が新聞に紹介されている。
米国でリビング・ウエイジが最初に条例化されたのは1994年、ボルティモア(メリーランド州)だった。その当時は、「そんな条例をつくったら、雇用が減り、地元企業は高い賃金を払わされる」といわれた。しかし60以上の都市が「生活できる賃金の条例をつくった。市の事業を請け負う企業ないしは補助金を受けたり、税金を免除されているなどの優遇措置を受けているところが対象にされている。金額はまちまちだが、カリフォルニアではパサデナの7.25ドルからサンタクルスの11ドルといった幅で設定されている。
マサチューセッツ大学のロバート・ポリン教授がLiving Wagesという本で、「最初のころの成功をもとに、運動は確信と弾みを増大させ、討論を活発にし、より大きな戦いの場にもっていきつつある」と書いた。しかし対象はまだ10万人にとどまっており、くわえて、こういう条例を禁止しているところもでてきている(
アリゾナ、コロラド、ユタ、ミズーリ、ルイジアナ、オレゴンの各州)。いわゆる社会的セーフティネット(福祉)が崩れているという状況もあって、また、最低賃金引き上げの動きも発展していないことから、「生活できる賃金を」条例で制定する運動は重要性を増しているといえるだろう。
この運動の先駆け的存在でもあるシカゴを中心とする都市の生活向上運動である「改革をめざす地域運動協会」(ACORN)によると、2002年に10市、5郡、1港、1大学で「生活できる賃金」を制定した。この年の運動の新たな成果として、老人ホーム、保育施設などで働く超低賃金の介護労働者に焦点をあてた取り組みがあった。これは、働く人たちにとって重要であるだけでなく、質のいいサービスを提供するための安定した労働力を確保するうえでも重要であるといわれている。すでに2000年にサンフランシスコでこの方向が具体化され、2002年にはボストン、ニューヨークなどでも取り組みがおこなわれた。
ボストンは「生活できる賃金」運動を早くから取り組んだところであるが、2002年には16か所の保育 施設経営団体が免除を申請してきた。これにたいしてACORNは、具体的な数字を示して反論、結局12団体の申請を却下した。
ニューヨークでは、宗教、労働関係の活動で制度を改定し、8.1 ドルからはじまって2006年には10ドルにする(健康保険料を折半していない雇用者は1.5 ドル上乗せ)などの前進があった。9,000
人の保育労働者にたいしても、遅れてではあるが適用される見通しである
最低賃金
アメリカの最低賃金制度は公正労働基準法(FLSA)に基づいており、全国一律の最低賃金額が連邦法により定められているが、各州には全国一律最低賃金より高い額を定める権限が与えられており、実際に幾つかの州では全国一律最低賃金より高い額の州最低賃金を定めている。公正労働基準法によると、最低賃金が適用されるのは、つぎの条件に適合する労働者である。
1)
|
年商50万ドル以上の企業に雇用されている労働者
|
2)
|
州を越えた事業活動を行うか、州を越えて流通する商品を製造する企業に雇用されている労働者
|
3)
|
病院、身体障害者施設、学校に雇用されている労働者
|
また、公正労働基準法の規定によると、つぎのような労働者は最低賃金の適用対象から除外されている。
1)
|
管理職、専門職
|
2)
|
外勤販売員
|
3)
|
季節的娯楽施設、教育施設に雇用されている労働者
|
4)
|
小規模の新聞社に雇用されている労働者
|
5)
|
小規模の電話会社に雇用されている交換手
|
6)
|
家庭内で働く育児、介護労働者
|
現在、最低賃金の対象となっている労働者は約8000万人(労働力人口の約70%)である。現行の最低賃金額は1996年に改定され、1997年9月までに90セント引き上げられて、1時間当たり5ドル15セントとなっている。
この現行最低賃金額に対し、クリントン政権は1998年2月に賃金格差、所得格差の解消に最低賃金引き上げが大きく貢献しているとの認識から、所得格差解消の方策として「1時間当り1ドル引き上げ6ドル15セントとする」法案を議会に提出した。
同法案は、2年間にわたって年間50セントずつ引き上げ、2000年までに1時間当りの最低賃金を5ドル15セントから6ドル15セントにする内容であり、約1200万人の労働者に恩恵をもたらすであろうと期待されていた。
しかし、7カ月にわたる審議の末、上院は「経済は今なお堅調ではあるが、産業界は最低賃金の引き上げを容易に吸収できない」という共和党議員と経営者団体の主張をいれ1998年9月22日、同法案を否決している。
賃金関連情報
別表で分かるように、アメリカでは業種間、人種間、男女間の賃金格差が大きい。最近ではこれに加えて正規従業員とコンティンジェント労働に就く者との所得格差も目立つ。賃金格差、所得格差について、すでに1970年代後半から問題とされてきており、その要因として指摘されているのはつぎの各点である。
1)
|
労働力需要が高技能、高度教育を受けた労働者に有利にシフトしていること(産業社会がコンピュータ革命で技術偏重に変化したため、教育が高く経験を積んだ熟練労働者がそうでない労働者よりも多く必要とされ、当然収入も多くなった)。
|
2)
|
国際競争、産業の空洞化の影響(NAFTA発効による隣接メキシコとの関係など)。
|
3)
|
労働力供給の増加(移民の増加)(技術水準も賃金も低い国からの輸入と移民の増大によって非熟練労働者があふれ、相対的所得を押し下げている)。
|
4)
|
1)
|
5)
|
法律的に解雇規制が存在しないこと。
|
6)
|
労働市場の流動化が進み過ぎたこと(コンティンジェント労働の顕在化)。
|
産業別生産労働者(非監督者)の平均時間・週賃金 (ドル)
|
|
|
平均1時間当たり賃金
|
平均1週当たり賃金
|
|
1998年
|
1999年
|
1998年
|
1999年
|
|
8月
|
7月
|
8月
|
8月
|
7月
|
8月
|
|
民間部門平均
|
12.76
|
13.16
|
13.21
|
449.15
|
456.65
|
463.67
|
|
(季節調整値)
|
12.85
|
13.28
|
13.30
|
444.61
|
458.16
|
460.18
|
|
鉱工業
|
14.41
|
14.91
|
14.92
|
596.57
|
609.82
|
616.20
|
|
鉱業
|
16.88
|
17.14
|
17.08
|
742.72
|
764.44
|
760.06
|
|
建設業
|
16.77
|
17.23
|
17.27
|
674.15
|
687.48
|
690.80
|
|
製造業
|
13.45
|
13.92
|
13.93
|
560.87
|
573.50
|
580.88
|
|
耐久消費財製造
|
13.92
|
14.38
|
14.44
|
587.42
|
598.21
|
609.37
|
|
非耐久消費財製造
|
12.75
|
13.22
|
13.18
|
522.75
|
536.73
|
540.38
|
|
サービス業
|
12.22
|
12.61
|
12.67
|
409.37
|
417.39
|
424.45
|
|
運輸・公益業
|
15.30
|
15.73
|
15.66
|
610.47
|
613.47
|
621.70
|
|
卸売業
|
14.18
|
14.54
|
14.64
|
548.77
|
558.34
|
568.03
|
|
小売業
|
8.72
|
9.02
|
9.03
|
260.73
|
268.80
|
270.90
|
|
金融・保険・不動産業
|
14.12
|
14.53
|
14.66
|
521.03
|
524.53
|
539.49
|
|
その他サービス業
|
12.75
|
13.20
|
13.28
|
423.30
|
432.96
|
440.90
|
|
出所:
|
The Employment Situation News Release,Sept.3,1999,Bureau of Labor Statistics,Department of Labor
|
フルタイム、パートタイム労働者の週当たり賃金
|
|
|
労働者数(千人)
|
週当り賃金(ドル)
|
|
1998年
|
1999年
|
1998年
|
1999年
|
|
(フルタイム労働者)
|
|
合計(16歳以上)
|
95,548
|
97,585
|
515
|
543
|
|
男合計
|
54,625
|
55,185
|
590
|
617
|
|
16−24歳
|
6,409
|
6,328
|
335
|
344
|
|
25歳以上
|
48,216
|
48,858
|
627
|
665
|
|
女合計
|
40,923
|
42,400
|
446
|
467
|
|
16−24歳
|
4,866
|
4,902
|
305
|
316
|
|
25歳以上
|
36,057
|
37,498
|
474
|
494
|
|
白人合計
|
79,361
|
80,928
|
532
|
569
|
|
男
|
46,237
|
46,858
|
606
|
638
|
|
女
|
33,124
|
34,070
|
458
|
480
|
|
黒人合計
|
11,827
|
12,116
|
420
|
432
|
|
男
|
5,890
|
5,822
|
471
|
481
|
|
女
|
5,937
|
6,295
|
390
|
402
|
|
ヒスパニック合計
|
10,552
|
10,835
|
365
|
375
|
|
男
|
6,793
|
6,734
|
381
|
399
|
|
女
|
3,759
|
4,101
|
333
|
343
|
|
(パートタイム労働者)
|
|
合計(16歳以上)
|
20,832
|
20,964
|
156
|
161
|
|
男合計
|
6,367
|
6,716
|
146
|
151
|
|
16−24歳
|
3,607
|
3,807
|
122
|
121
|
|
25歳以上
|
2,759
|
2,909
|
192
|
210
|
|
女合計
|
14,466
|
14,248
|
160
|
166
|
|
16−24歳
|
4,355
|
4,648
|
115
|
122
|
|
25歳以上
|
10,111
|
9,600
|
190
|
199
|
|
白人合計
|
17,813
|
17,832
|
156
|
162
|
|
男
|
5,386
|
5,633
|
145
|
150
|
|
女
|
12,427
|
12,199
|
162
|
167
|
|
黒人合計
|
2,035
|
2,231
|
152
|
156
|
|
男
|
618
|
782
|
153
|
151
|
|
女
|
1,417
|
1,449
|
151
|
159
|
|
ヒスパニック合計
|
1,936
|
1,874
|
145
|
158
|
|
男
|
637
|
679
|
148
|
158
|
|
女
|
1,299
|
1,194
|
144
|
158
|
|
|
注:
|
各年とも第2四半期の季節調整前の数値。人種合計には「他の人種」を含む。
|
出所:
|
The Employment Situation News Release,July 20,1999,Bureau of Labor Statistics,Department of Labor
|
労働法制
アメリカの労働関係法は連邦法と各州法によって規定されている。労働関係の主な法律を以下に概説する。
<解 雇>
アメリカではコモン・ローによる解雇自由原則が確立されている。したがって、解雇に関する法的規制はない。
<雇用差別の禁止>
1964年公民権法の第7編(いわゆるタイトル・セブン)は、人種、性、宗教、出身国に基づく雇用差別を禁止している。
<障害差別の禁止>
1990年に制定された「障害を持つアメリカ人法」(ADA)は、障害を理由とする雇用差別を禁止するものである。企業は基本的にタイトル・セブンの場合と同様の責任を負う。
<外国人の就労資格の確認>
1986年の移民法改正により、使用者は就労資格のない外国人を雇用することを禁じられるとともに、採用にあたって就労資格を確認することが義務づけられている。
<賃金・労働時間>
賃金・労働時間に関しては、連邦の公正労働基準法(FLSA)が最も重要である。この法律は、最低賃金、時間外賃金(週40時間で1.5倍)のほか、男女同一賃金および年少者労働の規制についても定めている。
<労使関係>
労組結成、団体交渉、不当労働行為などに関しては全国労働関係法が定めている(詳細は労使関係の項参照)。
<育児・介護・病気休暇>
1993年に制定された家族・医療休暇法(FMLA)は、育児・家族介護また本人の傷病のために、年間12週の無給休暇を取得する権利を保障している。この法律は、50人以上の雇用者を有する使用者に適用され、当該使用者に12カ月以上雇用され、かつ直近の12カ月間に1250時間以上勤務した雇用者は、かかる休暇を取得する権利を与えられる。
<労災補償>
労災補償は、業務上の傷病であれば、使用者に過失の有無にかかわらず一定の補償を義務づけるものであり、アメリカでは各州の法律によって制度が設けられている。いずれの州でも、労働災害に関する使用者の責任は労災補償だけに限られるとのルールが採用されている。労災補償につき使用者に無過失責任を負わせる(実際上は事前の保険加入が義務づけられている)代償として、それを超える部分については、たとえ使用者に過失があっても損害賠償責任を免除するものである(ただし、故意による場合は免責されない)。
1.社会保障制度
アメリカでは政府は原則として個人の生活に干渉しないという自己責任の精神と、連邦制のため州の権限が強いことが、社会保障制度のあり方に大きな影響を及ぼしている。代表的な社会保障制度としては、大部分の労働者に適用されている老齢・遺族・障害年金(OASDI)のほか、高齢者などの医療を保障する「メディケア」や低所得者に医療扶助を行う「メディケイド」といった公的医療保障制度、補足的所得保障(SSI)や貧困家庭一時扶助(TANF)といった公的扶助制度がある。
全般的にみて医療、年金などの分野においても、民間企業の果たす役割が大きいのが特徴であり、また連邦政府よりも州政府が政策運営の中心的役割を果たす制度が多くなっている。
以下に主な社会保障制度の内容を概説する。
(1)公的年金制度
老齢・遺族・障害年金と呼ばれる一般的制度と公務員など一定の職業のみを対象とする個別の制度とに大別される。
老齢・遺族・障害年金は連邦政府が運営し、労働者や自営業者の大部分が加入している。老齢年金の支給開始年齢は原則65歳であるが、2003年から2027年までの間に段階的に67歳に引き上げられる予定である。
老齢・遺族・障害年金の主な財源は使用者、労働者および自営業者が納入する社会保障税(税率12.4%を労使同額負担)であり、連邦の一般会計とは別に社会保障信託基金として管理されている。
アメリカでは企業年金制度が発達しており、内国歳入法(IRC)に規定する要件を充足する企業年金について、貯蓄を奨励する観点から税制上の優遇措置が適用されている。また、雇用者退職所得保障法(ERISA)は、加入者および受給者を保護する観点から、企業年金がその設立、運営、終了に当たって充足すべき基準を規定している。
1996年8月には、企業年金の運営負坦を軽減し、とくに小企業における普及を促進するため、企業年金の税制適格要件を簡素化する法改正が行われた。
(2)医療保障制度
アメリカには国民全体を対象とする公的医療保障制度が存在しない。この事実は先進国の中では極めて例外的であるといえよう。医療保障は民間保険を中心に行われており、福利厚生の一環として事業主の負担を得て団体加入する場合も多い。
また、最近では、医療費の高騰に対応し管理医療型の保険(マネージド・ケア・プラン)が急速に伸びている。
公的医療保障制度としては、メディケアおよび低所得者に対する公的扶助であるメディケイドがある。
メディケアは老齢・障害年金受給者および慢性腎臓病患者を対象とするもので、連邦政府が運営している。入院サービスなどを保障する強制加入の病院保険(パートA)と外来などにおける医師の診療を保障する補足的医療保険(パートB)からなり、パートAは社会保障税(税率2.9%を労使同額負担)、パートBは加入者の保険料(毎月の保険料は1998年に43.80ドル)と一般財源により賄われている。
メディケイドは社会保障法に基づくもので、連邦政府と州政府共同の低所得者に対する医療扶助制度である。
連邦政府が定める資格要件などのガイドラインの範囲内で、各州が受給資格やサービスの範囲を設定しており、事業内容は各州ごとに異なる。1996年にメディケイドを利用して医療サービスを受けた者は約3600万人である。各州における費用の一定割合を連邦政府が補助する形で運営されており、1996年の総支出額は約1620億ドル(連邦政府920億ドル、州政府700億ドル)となっている。
一方、いかなる医療保険の適用も受けていない国民は、約4340万人(16.1%)に達し、大きな社会問題となり、ようやく各種保険の適用拡大、促進のための措置が講じられるようになった。たとえば、1997年の均衡予算法において、州主導の下、メディケイドの適用促進などにより無保険状態にある児童数を減少させる「児童の医療保険プログラム(CHIP)」を創設し、5年間で240億ドルを投入する。
これはほぼすべての州において実施され、現在のところ、250万人以上の児童への医療保険拡大が見込まれている。
年
|
総労働者数
(千人)
(1)
|
時間給労働者
|
総数
千人)
(2)
|
総労働者に占める割合(%)
(2)/(1)
|
連邦最低賃金額未満の労働者数(千人)
(3)
|
連邦最低賃金額の
労働者数
(千人)
(4)
|
連邦最低賃金以下の労働者
|
労働者数
(千人)
(5)=(3)+(4)
|
時間給労働者に
占める割合
(%)
(5)/(2)
|
19941
|
107,989
|
66,549
|
61.6
|
1,995
|
2,132
|
4,128
|
6.2
|
1995
|
110,038
|
68,354
|
62.1
|
1,699
|
1,956
|
3,656
|
5.3
|
1996
|
111,960
|
69,255
|
61.9
|
1,8632
|
1,8612
|
3,7242
|
5.42
|
19971
|
114,533
|
70,735
|
61.8
|
2,9902
|
1,7642
|
4,7542
|
6.72
|
19981
|
116,730
|
71,440
|
61.2
|
2,834
|
1,593
|
4,427
|
6.2
|
19991
|
118,963
|
72,306
|
60.8
|
2,194
|
1,146
|
3,340
|
4.6
|
20001
|
122,089
|
73,496
|
60.2
|
1,752
|
898
|
2,650
|
3.6
|
2001
|
122,229
|
73,392
|
60.0
|
1,518
|
656
|
2,174
|
3.0
|
2002
|
121,826
|
72,508
|
59.5
|
1,579
|
567
|
2,146
|
3.0
|
20031
|
122,358
|
72,946
|
59.6
|
1,555
|
545
|
2,100
|
2.9
|
注)
|
連邦最低賃金は、1996年10月に4.75$、1997年9月に5.15$に上がった。データは、自営業者を除いている。また、最低賃金額を下回る賃金しか受け取っていない労働者の数が多数に上るが、これは必ずしも公正労働基準法違反を示している訳ではない。というのは、この中には多数の最低賃金適用除外者を含んでいるからである。さらに、1998-2003年の最低賃金額未満労働者のうち、比較的多数はちょうど時給5.00$を受け取っている。(1998年には約140万人、1999年には約90万人、2000年には約60万人、2001年には約50万人、2002年には約50万人、2003年には約35万人である。)これは、ある程度調査回答者側の四捨五入も反映しているかもしれない。
|
出典)U.S. Bureau of Labor Statistics
賃金関連情報
別表で分かるように、アメリカでは業種間、人種間、男女間の賃金格差が大きい。最近ではこれに加えて正規従業員とコンティンジェント労働に就く者との所得格差も目立つ。賃金格差、所得格差について、すでに1970年代後半から問題とされてきており、その要因として指摘されているのはつぎの各点である。
1)
|
労働力需要が高技能、高度教育を受けた労働者に有利にシフトしていること(産業社会がコンピュータ革命で技術偏重に変化したため、教育が高く経験を積んだ熟練労働者がそうでない労働者よりも多く必要とされ、当然収入も多くなった)。
|
2)
|
国際競争、産業の空洞化の影響(NAFTA発効による隣接メキシコとの関係など)。
|
3)
|
労働力供給の増加(移民の増加)(技術水準も賃金も低い国からの輸入と移民の増大によって非熟練労働者があふれ、相対的所得を押し下げている)。
|
4)
|
労働組合の弱体化。
|
5)
|
法律的に解雇規制が存在しないこと。
|
6)
|
労働市場の流動化が進み過ぎたこと(コンティンジェント労働の顕在化)。
|
出所:
|
The Employment Situation News Release,Sept.3,1999,Bureau of Labor Statistics,Department of Labor
|
米国の労働時間制度
2003年9月17日に発表されたOECD雇用アウトルックによると、米国1人あたりの年間総実労働時間(平均)は、1815時間(2002年時点)で、他のOECD諸国より比較的長い労働時間となっている。米国の労働時間の推移をみると、1998年〜2002年の過去5年間は連続して減少傾向にある。
しかし、米国の労働時間を考える時に注意すべきなのが、統計上には見えてこない労働時間の存在である。それらは、公正労働基準法の適用除外制度(ホワイトカラーイグゼンプション)や公務員の代償休暇制度(コンプタイム)などと深い関連がある。
現在ブッシュ政権下では、新自由経済主義のもと、時間外労働の割増賃金を抑えようとする動きが強く、公正労働基準法の改正や雇用管理の運用改正について活発に議論されている。
【法律・制度の特色】
米国の基本的な労働時間制度について触れた上で、労働時間をめぐる最新の動きを紹介する。
米国では、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act, FLSA)により週40時間を超える労働に対して、通常賃金の1.5倍以上の割増賃金支払い義務が定められている。ただし、これは週40時間を超える労働そのものを規制するものではない。すなわち公正労働基準法では法定労働時間を週40時間に規定し、それを超えた場合には割増賃金の支払い義務が発生するという、間接的な労働時間規制制度となっている。その意味で、厳密に言えば労働時間にかかる規制は、連邦レベルでは存在しない。
公正労働基準法における労働時間制度の大きな特徴は、「ホワイトカラーイグゼンプション」と呼ばれる特定の管理・専門的なホワイトカラーを時間規制の適用除外としており、適用除外の対象範囲も非常に広いことが挙げられる。その他、変形労働時間制度についても細かい規定が設けられている。
変形労働時間制度(弾力的労働時間制度)
アメリカにおける変形労働時間制度は、時期や季節によって作業量の変動が大きい産業について、弾力的な労働時間を導入して、複数週を単位とする総労働時間をもとに需要に見合ったフレキシブルな労働時間管理を実施しやすくする目的で設けられた。また労働時間に上限を設定し、割増賃金に関する規定を行うことで、労働者保護を図る目的もある。
年間総実労働時間の国際比較
年
|
実労働時間
|
実労働時間
|
実労働時間
|
実労働時間
|
実労働時間
|
日本
|
アメリカ
|
イギリス
|
ドイツ
|
フランス
|
1950
|
2,242
|
1,981
|
2,058
|
2,004
|
1,956
|
51
|
2,340
|
1,992
|
2,054
|
1,970
|
1,973
|
52
|
2,336
|
1,992
|
2,058
|
1,975
|
1,947
|
53
|
2,366
|
1,981
|
2,067
|
1,995
|
1,942
|
54
|
2,357
|
1,945
|
2,085
|
2,024
|
1,964
|
55
|
2,388
|
1,992
|
2,090
|
2,029
|
1,978
|
56
|
2,471
|
1,976
|
2,171
|
1,987
|
2,008
|
57
|
2,448
|
1,950
|
2,162
|
1,929
|
2,026
|
58
|
2,462
|
1,919
|
2,130
|
1,891
|
1,995
|
59
|
2,503
|
1,976
|
2,171
|
1,896
|
1,982
|
1960
|
2,527
|
1,945
|
2,135
|
1,896
|
2,013
|
61
|
2,478
|
1,950
|
2,108
|
1,883
|
2,026
|
62
|
2,412
|
1,986
|
2,081
|
1,858
|
2,035
|
63
|
2,390
|
1,992
|
2,108
|
1,842
|
2,039
|
64
|
2,372
|
2,002
|
2,112
|
1,812
|
2,030
|
65
|
2,326
|
2,028
|
2,076
|
1,833
|
2,008
|
66
|
2,344
|
2,018
|
2,027
|
1,817
|
2,022
|
67
|
2,342
|
1,981
|
2,040
|
1,746
|
2,000
|
68
|
2,330
|
1,986
|
2,063
|
1,787
|
1,995
|
69
|
2,394
|
1,981
|
2,058
|
1,821
|
2,000
|
1970
|
2,262
|
1,919
|
2,022
|
1,821
|
1,973
|
71
|
2,227
|
1,924
|
1,964
|
1,787
|
1,960
|
72
|
2,221
|
1,950
|
1,986
|
1,775
|
1,938
|
73
|
2,203
|
1,960
|
2,013
|
1,779
|
1,920
|
74
|
2,098
|
1,914
|
1,982
|
1,742
|
1,890
|
75
|
2,043
|
1,888
|
1,923
|
1,678
|
1,830
|
76
|
2,117
|
1,908
|
1,959
|
1,720
|
1,826
|
77
|
2,120
|
1,919
|
1,964
|
1,732
|
1,812
|
78
|
2,137
|
1,924
|
1,955
|
1,719
|
1,772
|
79
|
2,162
|
1,919
|
1,942
|
1,727
|
1,763
|
1980
|
2,162
|
1,893
|
1,883
|
1,719
|
1,759
|
81
|
2,146
|
1,888
|
1,910
|
1,656
|
1,717
|
82
|
2,136
|
1,841
|
1,915
|
1,626
|
1,683
|
83
|
2,152
|
1,898
|
1,938
|
1,613
|
1,657
|
84
|
2,179
|
1,937
|
1,910
|
1,671
|
1,647
|
85
|
2,168
|
1,929
|
1,910
|
1,663
|
1,644
|
86
|
2,150
|
1,930
|
1,910
|
1,655
|
1,644
|
87
|
2,168
|
1,940
|
1,915
|
1,642
|
1,645
|
88
|
2,189
|
1,962
|
1,948
|
1,618
|
1,682
|
89
|
2,159
|
1,957
|
1,957
|
1,614
|
1,681
|
1990
|
2,124
|
1,948
|
1,953
|
1,598
|
1,683
|
91
|
2,080
|
1,943
|
1,902
|
1,582
|
1,682
|
92
|
2,017
|
1,957
|
1,911
|
1,570
|
1,682
|
93
|
1,966
|
1,976
|
1,902
|
1,529
|
1,678
|
94
|
1,966
|
2,005
|
1,920
|
1,542
|
1,679
|
95
|
1,975
|
1,986
|
1,943
|
1,550
|
1,680
|
96
|
1,993
|
1,986
|
1,929
|
1,517
|
1,679
|
97
|
1,983
|
2,005
|
1,934
|
1,517
|
1,677
|
(注)
上記各国のデータは、労働省労働基準局(労働時間課)による推計値。
|
・原則として、製造業生産労働者。
|
・所定外労働時間は、内数。なお、フランスは不明。
|
・事業所規模は、日本5人以上、アメリカ全規模、その他は10人以上。
|
・常用パートタイムを含む。
|
所定外労働時間の国際比較
年
|
日本
|
アメリカ
|
イギリス
|
ドイツ
|
フランス
|
1970
|
238
|
156
|
151
|
198
|
不明
|
71
|
200
|
151
|
135
|
166
|
(以下同)
|
72
|
198
|
182
|
125
|
151
|
|
73
|
214
|
198
|
156
|
161
|
|
74
|
152
|
166
|
146
|
130
|
|
75
|
114
|
135
|
130
|
99
|
|
76
|
155
|
161
|
140
|
109
|
|
77
|
163
|
177
|
156
|
109
|
|
78
|
173
|
187
|
156
|
104
|
|
79
|
197
|
177
|
156
|
109
|
|
1980
|
209
|
146
|
125
|
104
|
|
81
|
202
|
146
|
114
|
94
|
|
82
|
191
|
120
|
130
|
78
|
|
83
|
202
|
156
|
140
|
78
|
|
84
|
228
|
177
|
161
|
78
|
|
85
|
230
|
172
|
161
|
83
|
|
86
|
214
|
177
|
161
|
83
|
|
87
|
224
|
192
|
177
|
78
|
|
88
|
253
|
203
|
187
|
83
|
|
89
|
254
|
198
|
187
|
94
|
|
1990
|
219
|
192
|
187
|
99
|
|
91
|
204
|
187
|
163
|
83
|
|
92
|
160
|
198
|
171
|
78
|
|
93
|
137
|
213
|
165
|
68
|
|
94
|
139
|
244
|
171
|
83
|
|
95
|
152
|
234
|
198
|
88
|
|
96
|
168
|
234
|
182
|
68
|
|
97
|
179
|
250
|
187
|
68
|
|
年間総実労働時間の国際比較をみると、日本はアメリカを下回っているものの、フランス、ドイツと比較して、300〜400時間程度長い。
|
|

|

|
各国の年次有給休暇制度をみると、アメリカでは、法令上の規定がなく、ヨーロッパ諸国では、使用者が時期を指定して休暇を付与する制度が一般的となっている。
|

|

|
アメリカ
|
イギリス
|
フランス
|
ドイツ
|
日本
|
勤続勤務用件
|
法令上の
規定なし
|
13週間
|
年休基準年度(6月1日〜翌年の5月31日)の間に、同一使用者の下で1ヶ月勤務すること
|
労働契約が成立してから6ヶ月(6ヶ月未満でも勤務1ヶ月当たり12分の1の休暇を付与)
|
初年度においては6ヶ月間、次年度からは1年の継続勤務
|
付与日数
|
法令上の
規定なし
|
4労働週
|
1年30労働日(1月の継続勤務につき2.5労働日)100
|
暦週24週日(週日とは日曜日、日曜日以外の所定休日及び法廷祝日を除く暦日)
|
6ヶ月で10日、2年6ヶ月までは1年ごとに1日追加、以後1年ごとに2日追加(最高20日)
|
連続付与
|
法令上の
規定なし
|
法令上の規定なし
|
12労働日を超えない有給休暇は、継続して与えなければならない。ただし、最高24労働日。
|
連続12週日の付与を要するが、労働協定で異なる定めも可
|
法令上の
規定なし
|
付与方法
|
法令上の
規定なし
|
|
休暇取得可能時期(労働協約又は団体協約で定めた5月1日〜10月31日を含む期間)に労働協約、団体協定の規定又は慣習により付与。これらがない場合は従業員代表委員の意見聴取後使用者が付与
|
使用者が労働者の希望を配慮した上で決定(使用者に決定権)ただし、従業員代表がある場合には、代表との同意の上で定める
|
使用者は、労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は他の時期に与えることができる。5日を超える年次有給休暇については計画付与制度あり。
|
|
http://www.zenroren.gr.jp/world/north_ame/america2003.html
http://www.jil.go.jp/kunibetu/kiso/2000/americaP01.htm#52国別労働基礎情報.
http://www.campus.ne.jp/~labor/tinginmokuji.htmlより引用
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